実家に住んでいる頃は、仕事から帰ってきて夕飯の支度をしている母親の横で今日の出来事や読んでいる本の内容などを毎日報告していた。母親のリアクションは今となっては全く覚えていない。料理してる時に話し掛けられるなんて、私なら生返事しか出来ないか、料理が疎かになるかどちらかだと思うが、訳の分からないものが食卓に上がっていた覚えも無いので、恐らく「へぇ」とか「そう」とかの相槌しか打ってなかったんじゃないかと思われる。しかし、それでも私は毎日の報告をしつづけていた。高校を卒業して、東京で一人暮らしを始めるまで。ちなみに、小学生の高学年に差し掛かるぐらいまでは2歳下の妹と゛母の時間”は取り合いだったのだが、彼女の"報告"はそんなに長くは続かなかった。
小学校低学年の頃は、外で遊ぶのが嫌いで、休み時間は図書室にいるか、席で本を読んでいて、昼休みのドッジボールにも参加せず、集団登校時も殆ど話さず、下校は一人か妹とだったので、友達を作るきっかけを掴めずにいたので、私のマシンガントークは専ら母親と妹に向かって炸裂していた。典型的な内弁慶。小学校も高学年になって、好きな男の子の話は母親にしづらくなってくるころ、きっかけらしいきっかけも特に無く、私もなんとなく女子の仲良しグループに紛れ込み、4人で交換日記をするようになる。
中学になると、それは授業中に遣り取りされるノートの切れ端や小さな手紙に書かれるようになり、友人との間を行き来していた。
クラスメートや部活の仲間と話す、好きなアイドルやマンガ、昨日見たテレビの話。高校になると、好きな音楽や好きな小説の話ができる友達もできる。
そうやって、自分の生活の中で触れたものを、面白がってくれそうな人がいる場合はその人に、誰も面白がってくれなさそうな話は母親にしていた。
一人暮らしを始めると、面白がってくれなさそうな話を聞いてくれる人がいなくなってしまった。
こうやって、此処に書いている内容は、結局小学生の頃から、家族や友達に話していることと変わらない。好きな音楽やアイドル(笑)の話、読んでる本の話、今日あった出来事、今日思ったこと。公開する日記ってのは一人でやる(もしくは不特定多数の人間とやる)交換日記みたいなもんだと思っていたのだけども、私にとってはキッチンで母親にしていた"報告"の方が近いかもしれない。だから、書くとすっきりするんだろうな、と思った。
なので、私は面白い*1コンテンツをのっけている人を数学ができる人と同じぐらいに尊敬します。

*1:interestには、利害関係という意味があるという事を大学生になって、経済の授業で初めて知った時は、本当に眼から鱗だった。